インドでの食事

食べ物

 ベジタリアンとノンベジタリアン

  JAI HINDU RESllURANT
    VEG&NONVEG
こんな看板のかかったレストランをどこでも見かけるだろう。
駅のレストランはVEGとNONVEGの部屋が別になっている。
宗教的および経済的理由から、肉、魚、卵等を食べない人がベジタリアン(略してベジ)で、そうでない人がノンベジだ。
インド人はベジ、ノンベジを問わず、ごくー部の回教徒、キリスト教徒を除いては食べない。
ヒンドゥー教徒にとって牛はシバ神の聖なるお使いなのだ。
(以前インドの首相だったデサイ首相は当時83歳でも元気であり厳格なヒンドゥー教徒で、肉、魚、卵はもちろんのこと、火を通しは一切食べず、酒もタバコも口にしないという徹底ぷりであった。)
しかし現在、都会ではノンベジ人口が少しずつ増えているようだ。

 期本的なベシタブルカレー

インドは広い、深い。地方により、宗教により、カーストにより、ふところ具合により、食ペる物も食べ方も違ってくるが、すべての人を通じて最もベーシックなのがベジタブルカレーだ。

北インドのベジタブルカレー(サブジー)
 <作り方>
まずギー(インド風バター)か植物油で、ミジン切りしたタマネギとニンニクをよく炒める。そこに手前の野菜(じゃがいも、豆、トマト、カリフラワー、オクラ、ナス、ホウレン草、マッシュルームなどの中から1つか2つ、好みであれこれミックスしてもよい。)と、唐辛子、生萎、黒胡椒(これらは辛みをつける)カミン、コリアンダー(これらは香りをつける。好みでパプリカ、カードモン等を加えてもよい)ターメリツタ(色を付ける)を加えてしばらく一緒に炒める。水を加えて軒菜が柔らかくなるまで煮る。好みによって火を止める前に塩、レモン汁、ココナツミルクを加えてもよい。

●ダル
レンズ豆に類する豆がダルで、いくつかの種類がある。それで作ったドロリとしたインド風豆スープもダルと呼ばれる。最初はとっつきにくいが、慣れるとダルなしのカレーは物足りなくなってくる。またタンバタ質、ビタミン等、栄養の宝庫でしかも安い。
 <作り方>
ギーか植物油で、ミジン切りにしたタマネギとニンニクを炒める。ダル100gに対して水120ccを加えて柔らかくなるまで煮る。唐辛子、コリアンダー、カミン、マスタードシードを油とともにシャクシの中で煮えたぎらせ、これをダルの中にジュッと加える。塩をふつてかきまぜれば出来上り。好みによってレモン汁やココナツミルクをたらしたり、好みの野菜を加えてもうまい。


●チヤパティー、ローティー
  パロータ、プーリー
 <作り方>
アタ(精製していない小麦粉)に水と塩を加え、手でよくこねる。(固めの方がよい)
1枚分ずつにちぎってうすくのばす。よく挽けた鉄板で油を使わすに挽いたのがチャパティーで、ギーをひいて挽いたのがパロータ。これにマッシュポテトかドライフルーツ、ナッツ等を混ぜて作ってもうまい。
インドではカレーにはチャパティーが一般的で
日本のインド料理店で出てくるナン(チャパテーをパンのように発酵させたもの)は特別に注文しないとまず出て来ない。チャパティーが手間をかけず一番早く作れるし、発酵させないため暑いインドでは保存が楽だからだ。
チャパティーより厚くて大きいのがローティーで、タンドール(かまど)の中で炊いたのがタンドリローティーと呼ばれる。
焼くかわりに油で揚げたものがプーリーで、朝食にぴったりだ。ダヒ(ヨーグルと混ぜて食べると一層うまい。
チヤパティーやパロ−タにハチミツを塗つてバナナとピーナツをはさんだり、マンゴージヤムを塗って食ペればいいおやつになる。

北インドの定食<タリ>
汽車に乗っていて食事時になるとボーイが注文を取りにまわって来る。この時注文しておくとしばらくしてから大きな駅に侍った時、その駅のレストランから仕出しされた定食をボーイが配って来てくれる。
これがタリと呼ばれるもので、6つくらいくぼみがあるアルミかステンレスの1枚のお盆に、ライス、チャパティー、カレー、ダル、パパダム(とうもろこしの粉で作ったせんべい)ダヒ(ヨーグルト)アッツアール(レモンやマンゴーのピクルス)が所定のくぼみに盛り付けられている。
見た目にも何となく愛嬌があるし、駅によってその内容も味付けも違うのが楽しい。
これにもペジとノンベジとがあつて、ノンベジの場合はベジタブルカレーの替りにチキンカレーかマトンカレーが付く。ベジで2〜4Rs前後、ノンベジで4〜8Rs前後。街のレストランでも食べられる。

南インドのベジタブルカレーくサンバ〉
南インドでは、チャパティーもダルもほとんど食ペない。
ライスにサンバと呼ばれるシャボシャボで酢っぱい味のカレー汁を浸すようにかけて食べる。
北インドのカレーとも日本のカレーともかけ離れていて、むしろ日本人がメシにミソ汁をぷつかけて食べる、そのインド版といった感じだ。
くサンバの作り方〉
熱した植物油の中にニンニク、唐辛子、マスタードシードを入れ、色が変って果たら普通に切ったタマネギを入れて透明になるまで炒める。そこに季節の野菜(ジャガイモ、ナス、大根、カポチヤ、ズッキーニー、冬瓜、ドラムステック、豆類などの中から適当に)を入れてしばらく一緒に炒める。かなりの水を加え、煮立ってきたらトマト、ペイリーフ、コリアンダー、黒胡椒、ターメリックを入れて野菜が柔らかくなるまで煮る。好みによって火を止める前に塩、レモン汁、ココナツミルクを加えてもよい。

●インドの定食くミールス
南インドでは、食事時になるとレストランの前にMEALS READYという看板が出る。
注文するとまずバナナの葉っぱとぬるま湯が運ばれてくる。自分でこのお湯を使って葉っぱを洗い終ると、別のボーイがライスを葉っぱの上に乗せていってくれる。次に真鍮のバケツに入ったサンバをシャクシでライスの上にかけていってくれる。今度はクツドゥ く野菜の煮付け)とウルカイ(ピクルス)を葉っぱの隅に乗せていってくれる。
食べ始めてしばらくすると今度は唐辛子と黒胡枕のスープがアルミのカップで運ばれてくる。
サンバとクッドはいくらおかわりしてもよく、いれものをさげてまわっているボーイが「もっといるか?」といつでもまわってきてくれる。来ない時は(堂々と)呼べばすぐもってくる。
食べ終ると葉っぱを二つに析りたたむ。すると最初に運んできたボーイがかたずけてくれるというしくみ。
まさしく南に来たという感じがして嬉しくなってしまう。
ノンベジを食ペたい時はこのミールスに注文のものをプラスしてくれる。

●ドサ、イドリー、バラ
南インド独特のスナックに、ドサ、イドリー、バラなどがある。スージー(米の粉)3にウルトドゥ(豆の一種)の粉1の割合でミックスしたものに、とろりとした粘りが出る程度の水と塩少々を加えてよくかきまぜ、植物油をひいた鉄板で焼いたのがドサ。その中にカレーで味付けしたポテトをはさんだのがマサラドサで、いためたタマネギをはさんだのがオニオンドサだ。
香ばしく都会的な味がして、インド風クレープといったところ。朝食やオヤツにぴったりだ。
ドサよりやや固めに練って蒸したのがガイドリーで、味も形も蒸しパンそっくり。
油で揚げたのがバラでヨーグルトをかけたダヒバラはうまい。

●カレーのバラエティー
色々と中身のちがうベジタブルカレーの他、チキン、マトン、ビーフ、魚、エビ、レバー、プレイン(脳ミソ)、コフタ(ミンチ)チーズ等々のカレーがある。何でもがカレーになってしまい、それぞれがうまい。
また同じチキンのカレー料理でも料理法とスパイスの違いで、カレー、マサラ、ピンダルー、コーマなどの種顆があり、さらに地方色が加わる。
参考までに、カレーよりギーを多く使いこつてりと煮つめたのがマサラ。
ピンダルーは南インドの料理法でとても幸いがコクがある。コーマはムガール風の料理法で、肉をダヒとスパイスにつけておいてから煮込む。香り高くコクがあるが辛くはない。


●ブラオとピリヤニー
白いライスの他、プラオやビリヤニーなどのライス料理がある。ギーとスパイスを使ったインド風炊き込み御飯がプラオで、黄色い色をしている。
このプラオにあらかじめ味付けされた野菜とか肉類をまぜればベジタブルプラオ、チキンプラオなどとなり、コーマとまぜればどリヤニーとなる。こちらはきつね色をしている。ムガール風焼きメシといった感じでどちらも辛くなくむしろ甘味がある。


●カバフとタンドリチキン
インドのイスラム化と共にその文化が持ち込まれ、既存の文化と混じり合って独特の発展を遂げた。
食物においてもその影響は大きい。コーマ、プラオ、ピリヤニーもインドイスラミックだし、カバプ(マトンの挽肉)になるとよリアラブ色が濃い。
タンドリチキンはムガール風ローストチキンだ。(タンドリチキンは丹鳥に通じるのか赤い色をしている)どちらもスパイスが利いていてうまい。
くタンドリチキンの作り方〉
トマト、唐辛子、黒胡椒、生姜、パフリカをスリ鉢ですってダヒに加え、この中に串で穴を通したチキンを半日から1日つけておく。かまどかオープンで時間をかけて何回もつけ挽きにする。


●スナック
ちょっと何かつまみたいというような時、インドはとても便利だ。どこにでもメシ屋兼スナック屋兼お菓子兼チャイ屋といつた店がある。色々なスナックの屋台が出ている。モノ売りもやってくる。
バニヤンやマンゴーの大きな木影でじいさんがチャイを作る。その周りでは牛やヤギが寝そペリ、ベタッと座り込んでオッサンがチャイをすすっている。じいさんが時々犬を追っ払う。白ちゃけた道にバスはまだまだやって来そうにない‥‥。そんな停留所がある。
昼間は人通りもまばらなまぶしい街角。陽の光が黄色くなり始めると、アルチョップやゴルガパをきれいに並べた屋台が店を連らね、涼を求めてどこからともなく集まってきた家族連れや仕事帰りの人々でごつた返す。
アセチレンガスの白い灯とシユーシユーという書、軒先の色電球。音の割れたラジオがボリュームを目一杯に上げて甘ったるい歌謡曲をがなり立て、物売りの声が飛び交う。
路上ではあぐらをかいたおばさんがマンゴーやジャスミンの花をひろげている。
そんな中を牛がのっそりと歩いている。
インドの夕方は毎日がお祭りだ。

●サモサ
カレーで味付けしたポテトをギョウザのように包んで油で揚げたもの。スナックの代表格でインド中でポピュラーだ。

●アルチョップ
マッシュポテトをマンジュウのような形にして油をひいた鉄根でこんがりと焼いたもの。チャトニー(タレ)を付けて食ベる。

●チャナ
チャナと呼ばれる豆をゆでたもの。タマネギのミジン切りと混ぜ、新聞紙にくるみ、スパイスとレモンをかけてくれる。その手つきが面白い。カレー味に煮付けたものもある。

●ゴルガパ
ピンポン球のように丸くふくちませたせんべい。穴をあけて、その中にチャトニーや豆、イモをいれて食ペる。食欲不振時にいい。

●パコラ
カリフラワー、タマネギ、チーズ等にカレー味のコロモをつけて揚げたインド風テンプラ。

●お菓子(ミタワラ)

インドにはあいまいなものがない。中庸の徳も通用しない。
食物においてもしかり。カレーは汗が吹き出て胃が痛くなるほど幸いし、お菓子は思わず吐き出したくなるほど甘い。慣れないうちは頭がシーンとしてきそうな程の辛さと甘さだ。しかしそのうち極限を求めてサデイスティックなまでにエスカレートして行くオノレを発見してガクゼンとするのだ。

●グラブジャモン
シロップに浸してあるこげ茶色をした親指型のお菓子。ダヒに混ぜればうまい。

●ラスグラ
シロップに浸してある白いゴルフボールのようなお某子。お菓子の女王。ケンランたる味と香りがする。

●チキ
ふくらませた米とピーナツをアメで固めたもの。日本にも「おこし」などの同じものがある。

●ジレビー
キツネ色をした満巷型の沸げ井子。沸げたてがうまい。−ロかむとドロリとしたシロップがしたたり出て央る。

●ペラ
白い練り菓子。コクのあるミルク味がする。


●ラルー
表面が粒々の黄色いゴルフポールのようなお菓子。

●アイスクリーム
全般的にうまいが、ブリキの容器に入ったホームメイドのものが特にコクと香りにすぐれている。

これらはごく一部で、お菓子屋さんに行けば実に様々なお菓子が手の込んだディスプレーで陳列してあるのに目を奪われる。

●飲み物
インドで最ももよく耳にする言葉が「アッチャ」と「バーニ一」と「チャイ」。それに「パイサー」と「チョロ」。この事からも水とお茶がいかに深くインドの生活とかかわっているかが分る。

●水(バーニー)
素焼の水ガメからオバさんが水をサービスしてくれる水場が駅や街にある。
インド人は右手の掌だけで深いくぽみを作ってその水を受け、一満もこぼさずにロに持って行く。
絶対に両手では受けない。左手は不浄の手だからだ。水道の蛇口も左手でレバーを押さえ、右手の掌だけで水を飲んだり顔を洗ったりする。
デリーなどには水売りがいて、その仕掛けが面白い。ICE COLD WATER なんて書いてあるが別に水道の水と変わりない。しかし何となくうまいような気がしてくるから不思議だ。1つのショーだ。1杯5パイサは安い。
メシ屋に入るとこぼれる程に木を満たしたグラスが3つ4つ運ばれて集る。役所やホテルなどには水ガメが置いてある。

●チャイ
ミルクティーである。ピリピリのカレーの後で、暑くほこりっぽい汽車の中で、満員のバスの小休止で、このチャイのおかげで何度生き返ったことだろう。
チャイ屋でどんなに多くの出会いと思索と発見があったことだろう。
若葉色の光と、さえすりと、ジャスミンのかおる朝に一杯。しんとした真昼間、手紙を書きながらの一杯。夕方、街の雑踏をぼんやり眺めながらの−杯。チャイのないインドなんて‥‥。
高級レストランのダージリンティーは最高にうまい。
しかし、安物の粉茶をタップリのミルクと一緒に煮出して砂糖をぷち込んだチャイこそ、本当にインドのチャイだ。
あるいは南インドの、見事なショーともいうべき手順を踏んで出されるチャイも本当にインドのチャイである。
そして一杯のチャイを親子で、兄弟で、友達同志で、カップと皿に分け合って飲む光景が実にインドなのである。

●コーヒー
南インドではチャイよりもコーヒーの方が一般的だ。
うすいコーヒーにやはリミルクと砂糖をたっぷり使う。
飲み方がおもしろい。ボーイがコーヒーの入ったカップを小さなボールの中に入れて運んでくる(このカップとボールのセットはステンレス製)。客はカップのコーヒーをボールに移しかえて飲む。
インド人はネコ舌が多いらしい。チャイも、カップから皿に移して飲んでいるのがおもしろい。

●ラッシー
ダヒにミルクと砂塘を加えてよくシェイクした飲物。好みのフルーツを加えればバナナラッシー、マンゴーラッシーなどとなる。味、栄養、冷たさ、すべて言ううことなし。
     
●シェイク
ミルクにフルーツと砂糖を加えてシェイクしたもの。ラッシーの弟分。


●バダムミルク
カシューナッツの入ったミルク。コクがある。
 
●ジュース
色々な生ジュースが安く、ふんだんに飲める。サトウキビのジュースが一番安くてポピュラーだ。(40パイサ前後)レモン汁を多目に加えればさらにうまくなる。ヤシの汁も独特の風味がある。

●リムカ、ゴールドスポットなど
Thums−UP77、Campa−Colaがコカコーラのかわり。


●果物
リンゴ、ミカンからマンゴー、パパイヤ、ジャックフルーツまでありとあらゆる果物の宝庫だ。
3月から6月まではマンゴーが食べられる。豪華ケンランたる風味があつて、「果物の女王」の名に恥じない。その中でもアルファンゾーという品種は絶品で、ピクトリア女王も死を前にして「あぁ、もう一度インドのアルファンゾーが食ペたい」と言った程だ。

●タバコ、ビティ ー、パン
インドには禁煙の人も多いが、タバコの種類も多い。所変れば品も値段も変るのが面白い。バラ売りしていて、1本ずつ買う人も多い。
南インドは葉巻が安く、かなりの人が吸っている。
さて初めてインドの土を踏んだ時、草の焼ける匂いと土ぽこりの混じったような匂いに鼻をひくつかせるだろう。
そして唇のまわりを血で真赤にしたインド人の多いのにギョッとするだろう。実はそれがビデイーの匂いとパンをかんだ時の色だ。
ピデイーは、くずタバコをある種の木の葉で巻き、糸で篇んだ小さな葉巻のようなタバコで、貧乏人やローカーストの人が扱う。501番か30番は工場で作られるが、田舎に行けばじいさんが一人でこれを作つては売っているのが見られる。25本で35パイサ前後。これさえバラ売りしている。
バンと呼ばれる木の新鮮な葉に石灰を塗り、ビンロウ樹などの木の実やスパイスを包んだものがパンだ。味はハッカのようないろいろな薬味が入っていてスッとする。薬味の色で口の中が真っ赤になる。かみ終わると道端に吐き出す。知らないで見ていると口から血を吐いたように見える。作って売る人の街かどで機械のような手つきに注目。


●酒
禁酒の州(タミールタドゥ、カルナタカなど。旅行者はリカーバーミットを取れば良い)があるくらいで都市を除いてあまリ一般化していないが、結構うまいビ−ルがあるしウイスキー、ラム、ブランデーなども国産のものがある。
酒好きな人の多いゴアではワイン、ヤシ、マンゴー、パパイヤ、グァバなどから作った酒も飲める。


ガンジャとチャラス
マリワナはガンジャ、ハッシッシはチャラスと呼ばれる。合法の州と非合法の州があるのでく念の為)調べておいた方がよい。ビハール州ではガバメントショップがあり、ガンガのほとりで警官も吸っていたのを見た事がある。